筋トレクエスト

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身体を作る「たんぱく質」について知ろう

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 骨格筋は、体重の約40%を占める生体内で最大の組織です。スピードやパワーご求められる競技においては、その量を増加させることが重要となります。また、加齢にともなう筋量・筋力の低下は生活の質の低下や寝たきりに繋がるため、高齢者においては骨格筋量をできるだけ維持することが求められます。骨格筋の主な構成成分は70-80%を水分が占め、残りは「たんぱく質」です。したがって、骨格筋の主要な材料であるたんぱく質を摂取し、骨格筋量を維持・増加させることが重要です。

 

「たんぱく質」「アミノ酸」「ペプチド」の違いは?

 

 「たんぱく質」とはどんなものなのでしょうか。たんぱく質を構成する最小単位は「アミノ酸」であり、アミノ酸がペプチド結合によって多数繋がったものを「たんぱく質」といいます。多数というのは、50個以上を意味し、それ未満のものは「ペプチド」と呼ばれます。

 たんぱく質は、トリプシンなどの消化酵素により分解されてから、最終的にはアミノ酸やペプチドとして小腸から吸収されます。

 

たんぱく質の分解と合成

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 体内のたんぱく質は、一度作られた後は、亡くなるまでずっと保持されるというわけではありません。たんぱく質には寿命があり、寿命がくるとたんぱく質分解酵素の働きによりアミノ酸まで分解されます。そのたんぱく質の寿命の長さをあらわす指標として「半減期」というものがあります。半減期とは、その組織に含まれるたんぱく質全体のうち半分が分解されるのに要する時間のことを指します。その値は組織や臓器によって大きく異なり、肝臓では12日と短いのに対して、骨格筋では180日と長くなっています。骨格筋は身体全体の約40%を占める大きな組織であるが、上記の半減期から推定すると、骨格筋のたんぱく質は1年後にはすべて分解されている計算になるのです。

 

1年経っても身体はほとんど変わらない気がする

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 大きな怪我や入院などしない限り、1年前の状態と比べても骨格筋はそれほど萎縮せず、ほとんど変わらず安定した状態を保っているようにみえます。これは、毎日私たちの体の中では、多くのたんぱく質が分解されている一方で、実はそれと同じだけのたんぱく質が合成されているためです。このように体内では大きな変化が生じながらも安定した状態を保っていることを「動的平衡」と呼びます。たんぱく質の摂取と排泄、合成と分解のバランスを保ちながら、寿命がきたたんぱく質を常に新たなものに作り変え、体内のたんぱく質の品質を保持し、生命活動を維持しているのです。

 

 

なかなか身体が変わらない! 

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 食事は薬剤のような即効性はない。なにかを摂取したからといって、すぐにパフォーマンスが向上したり、健康になったりすることはほぼありません。では、食事でどのように身体を変えるかというと、先ほど記載した「動的平衡」を利用することになります。私たちの身体は一見安定しているように見えて、絶えずその中身は入れ替わっています。身体により良い材料を食事から摂取することで、身体の中身を少しずつ入れ替え、徐々に良い方向へ持っていくことが重要です。

 食事を数日間変えただけでは効果はすぐには現れず、効果が感じられるまでには時間がかかります。地道に継続していかなければなりません。

 

たんぱく質の摂取量やタイミングなどは、また別の記事で記載しようと思う。